裁判離婚
解説
協議離婚の話し合いもまとまらず、家庭裁判所での調停、審判でも離婚成立に至らなかった時、どうしても離婚したければ地方裁判所に離婚の訴えを起こしてその裁判に勝ち、離婚を認める判決を得る事で離婚できます。
この事を裁判離婚といいます。
判決が下ると、片方がどんなに拒んでも強制的に離婚となります。この場合、双方の合意の有無は問題ではありません。
裁判離婚は離婚全体の約1%を占めます。
裁判離婚では、民法に定める特別な「離婚原因」がない限り、離婚は認められません。(以下参照)
■ 離婚原因(いづれかに該当する必要があります)
- 配偶者に不貞な行為があった時
- 配偶者から悪意で遺棄された時
- 配偶者の生死が三年以上明らかでない時
- 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない時
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由のある時
離婚裁判は弁護士を立てないと不利になり、不貞行為については証拠の提出が必要です。
訴訟に必要な費用は、訴訟費用として印紙や切手で裁判所に納めるものと、出廷の為の交通費及び弁護士に依頼した場合にはその費用が必要です。
離婚訴訟を提起する地方裁判所は以下のように決められます。
- 夫婦が同居していればその場所の管轄地方裁判所
- 別居して一方が元の住所地に残った場合、元の住所地の管轄地裁
- 別居し双方共元の住所地に住んでいない場合はどちらかの住所地管轄地裁
- 以上で決まらない場合には東京地裁
離婚裁判の手続
- 離婚を希望する方が管轄地方裁判所に離婚裁判を提起する。(夫婦の戸籍謄本・訴状2通・調停不成立調書を提出)
- 裁判所が指定した日に裁判(口頭弁論)が行われる。
- 口頭弁論の場で法定離婚原因についての争点の整理と証拠調査を行う。
- この後、双方への本人尋問が行われる。
- 離婚の判決が出されて14日以内に被告が上告をしなければ判決が確定。
- 原告は役場の戸籍係に離婚届を提出。
離婚訴訟に入ると裁判官から和解を進められる場合が有ります。これは裁判官が行う調停のようなものですが、和解が見込めない場合、調停では調停不成立となりますがこの場合は裁判が続行され判決が出される点が決定的に違います。
なお、法定離婚原因(浮気、暴力、悪意の遺棄、生死不明、強度の精神病等)が無い場合には離婚訴訟を起こせません。また離婚裁判ではその事実を(浮気の証拠写真や暴力の場合診断書等を提出して)証明しなければなりません。
費用面として裁判所に納める訴訟費用は通常数万円程度ですが、弁護士に依頼する場合の費用が比較的高額となります。