歴史的円高です
ニュースなどで見る事も多いと思いますが、現在円の為替レートが歴史的な円高になっています。 対ドルで言うと今年3月の東日本大震災直後に過去最高値を記録した後、先日さらに更新し、現在は1ドル77〜76円台で推移しています。 世界的な通貨としてドル・ユーロ・ポンド・円とありますが、日本が強くての円高ではなく、他が弱い為の円高となっているようです。 サブプライムローンが破綻しリーマンショックからの金融危機に陥ったアメリカ、ギリシャの財政破綻から金融不安に陥ったユーロ・ポンドなど円以外の通貨が売られている訳です。 日本も決して明るい訳ではなく、震災による景気低迷や円高による輸出のダメージ、増え続ける国の借金に国債の格下げなどネガティブな要素を抱えており、いつ「日本売り」が始まってもおかしくない状況ではあります。 しかし為替で稼いでいるファンドなどの投機筋は売買を止める訳にはいかず、円高で利ざやを稼ぐチキンレース状態に入っているようです。 これはリーマンショック以前のドルでも起きた現象で、ドルが暴落する事は分かっていながらも1ドル110円前後で売買していた頃と同じです。 しかし、円高がさらに進行する要素も発生しています。 それはスイスの中央銀行によるスイス・フランの市場介入宣言です。 スイスは輸出や国内観光が重要な産業で、フランが高くなるとそれらにダメージを与えるので、対ユーロに対して一定の水準を設け、その水準を超えると無制限でフラン売りの介入を実施するという極めて強い宣言でした。 スイスのフランは日本の円と並んで安全通貨と認識されており、市場がリスク回避の動きになると買われる通貨でした。 そのフランが売り介入を無制限に実施するという事は、今後のリスク回避の通貨は円に集中すると想像されます。 これまではフランと円に分散されていた安全通貨ですが、これからは円のみとなり、いわゆる独歩高(円だけが高くなる)が加速する可能性がある訳です。 以上の事を考えると、実力以上に評価されている円高が円安に反転しそうでもあり、フランの介入宣言によりさらに円高が進行する可能性も否定できず、どちらに動いてもおかしくない状況です。 私が思うには長期的(数年後)には円安に向かうでしょうが、短期的には円高になるんじゃないかと推測します。 もちろん円高でメリットを受ける国内企業もあるし、海外の資産やら資源を安く買う事もできるので円高=マイナスという訳ではありませんしね。 為替の動きは世界経済の縮図となっているので、為替に関心のない人も注目してみると世界の動きが分かり面白いかもしれませんね。